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以前、お客様の素性は把握していませんが、某機関で使われている重要な鍵を持ってこられた方がいて、「これと同じ鍵を作ってください」とおっしゃるのです。
見てびっくり!○△の鍵なのです。
超特殊な鍵ですからベースはありませんでした。
メーカー品ではないので取寄せも不可能。
どこへ行っても作ってもらえず、カギの救急車麻生店のうわさを聞いてやってきたそうなのです。
ご希望は、使えればどんなスタイルでもよいというわけではなく、見分けがつかないほどまったく同じに、できれば色も同じにして欲しいということなのです。
複雑な事情をお持ちなのでしょう。
失くしてはいけない重要な鍵を失くしてしまったのでしょうネ。
しまいには、「いくらでも出します!!何とか作ってください」と、真剣なわけです。
ナガちゃんもそこまで言われては何とかしなければなりません。
「わかりました、数日お預かりします!」と言って預かってしまいました。
でも、ベースはありませんでしたが、出来る自信が少しあったのです。
次の日、迷わず私は歯科技工士の友人、Kさんの歯科技工所の門を叩きました。
Kさんは学生時代の友人で、歯科技工所を経営しており、カギ救麻生店から近いので時々遊びに行ったりしているのです。
Kさんと相談した結果、印象材(歯の型を採るゴム状の材料)を使って型を採り、ワックスを流して原型を作り、それを埋没して鋳造しようということになりました。
銀歯を作るときに用いる技法です。
一日目、Kさんから電話がありました。
「ダメだ、失敗した!うまく型採りできない!難しいな〜!」とのことでした。
「そうか、やっぱりダメか!」
それでもKさんは忙しいにもかかわらず、「もう一回やってみる!」と再チャレンジしてくれました。
数日後、「ナガちゃん、来てみて! なかなかいい出来栄えだ!」
私はワクワクしながらKさんの技工所まで行きました。
見せてもらった鋳造物は、本物と遜色のないすばらしい出来です。
何度か失敗、そして試行錯誤を重ね、ついに完成したと言うのです。
いや〜っ、本当にありがたかったですね!お客様の喜ぶ顔が目に浮かぶようでした。
その日、私はお客様に合鍵が出来たことをお伝えし、次の日には納品いたしました。
それはもう、どこにも断られて途方にくれていたそうなので、喜びもひとしおだったようです。
私はお客様に感謝されましたが、私は友人の歯科技工士、Kさんに感謝しました。
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